子供が生まれてくることが分かり、そろそろ学資保険を考える時期にきました。
教育資金の準備でまず最初に思い浮かぶのが、“学資保険”
世の中に出回る学資保険はいったいどういったもので、本当に学資保険にはいるべきなのか。
学資保険が理解できるようにシンプルにまとめました。
学資保険に関する知識以外にも様々な教育資金積立として利用できる商品とも比較もしています。
ぜひ、お子さんのために教育資金をしっかり準備していきましょう。
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学資保険とは
まずは学資保険とは何かを確認しましょう。
子供の将来の教育資金に備えるための保険が「学資保険」(子ども保険)です。
入学時に支払われる祝金と、満期時に支払われる満期保険金が教育資金になります。
受け取り方法は一括受け取りの他、進学時に受け取るタイプや大学在学中に毎年支払われるタイプもあります。
また、万が一、契約者になっている親が死亡・高度障害者になった場合は、それ以降の保険料の払い込みが免除され、祝金や満期保険金は予定通り支払われます。
親が死亡した場合、預貯金などの遺産は遺言を書かない限り、法定相続分で相続されます。学資保険や生命保険は、保険金受取人を子どもに指定しておけば、確実に子どもに教育資金や相続分を移転することができるのもメリットです。
子供の死亡保障もありますが、通常は既払込保険料程度の保証額になります。
そのため、各所で学資保険が一番良い選択なのか考える動きが出てきています。
学費はどれくらい掛かるの?
実際に子供にかかる学費はどのくらいになるのでしょうか?
まずは、幼稚園から高校までの費用はこちらになります。
幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高校 | 準備したい 教育費総額 |
||
学習費総額 | 公立 | 222,264円 | 321,708円 | 481,841円 | 409,974円 | |
私立 | 498,008円 | 1,535,789円 | 1,338,628円 | 995,295円 | ||
進学別コース | すべて公立コース | 1.435,792円 | ||||
公立 | 私立 | 4,091,971円 | ||||
私立 | 公立 | 1,711,536円 | ||||
私立 | 公立 | 私立 | 2,296,852円 | |||
私立 | 公立 | 私立 | 3,153,634円 | |||
すべて私立コース | 4,367,715円 |
引用:文部科学省「平成26年度「子供の学習費調査」の結果について 」より
大学での必要な教育資金は下記になります。
学部 | 住まい | 費用 |
国立 | 自宅通い | 538.7万円 |
下宿 | 839.6万円 | |
私立文系 | 自宅通い | 692.3万円 |
下宿 | 975.1万円 | |
私立理系 | 自宅通い | 822.2万円 |
下宿 | 1,105万円 | |
私立医歯系 | 自宅通い | 2,540.4万円 |
下宿 | 2,940.4万円 | |
私立短大 | 自宅通い | 374万円 |
下宿 | 522.7万円 |
学資保険は最低10年~18年ほどかけますので、みなさん大学進学のための資金として準備する方が多く、
だいたい私立大学の4年間でかかる平均的学費の約半分200万~300万円を目安に準備されます。
学資保険料ですべての大学教育費を賄おうとした場合、今の利回りでは毎月の負担額がかなりかかります。
20代、30代前半で毎月10万円程度を学資に回せる余裕がある方は可能です。
教育費にお金がかかり始める10歳以降までに学資保険の支払いを終えたい方は、10年満期を選択されます。
学資保険は払込み保険料よりも受取額が多く得られる
学資保険を始める一番のメリットはやはり、払込み保険料より受け取れる総額が大きくなることではないでしょうか。
低金利の時代、銀行にお金を預けていてもほとんど利息が付きません。
以前は、満期時に10%以上増える学資保険も存在しておりましたが、マイナス金利の影響で売り止め。
返戻率が110%以下の商品が普通になっています。
また、保障重視の保障が手厚い学資保険では受け取れる総額は払込み保険料より小さくなるので、注意が必要です。
【2017最新学資保険ランキング】
1位 ソニー生命学資保険(無配当型)
10歳、15歳など短期払いにすると貯蓄性が高くなる。
返戻率が高く、契約者が万が一のときには以後払い込み免除に
契約者:30歳男性 子供:0歳 保険料:月々15,540円 10歳払込 満期保険金200万円
支払総額:1,864,800円 返戻率 約107.2%
2位 フコク生命 みらいのつばさ
2人目以降の子供が割引になる兄弟割引がある。
契約者が万が一のときには以後払い込み免除に
契約者:30歳男性 子供:0歳 保険料:月々15,186円 10歳払込 満期保険金210万円
支払総額:2,004,552円 返戻率 約104.7%
3位 アフラック 夢見るこどもの学資保険
10歳、15歳など短期払いにすると貯蓄性が高くなる。
返戻率が高く、契約者が万が一のときには以後払い込み免除に
契約者:30歳男性 子供:0歳 保険料:月々15,276円 10歳払込 満期保険金180万円
支払総額:1,833,120円 返戻率 約98.1%
基本的に学資保険は18年払いより10年払いのほうが3%程返戻率が高くなります。
15,000円だと現在は子供手当がありますので、捻出できる金額ではないでしょうか?
学資保険では保険料免除などの得な付帯がある
学資保険のほとんどの商品には一般的な生命保険と同じように保険料免除が付加されています。
契約者(親)に万が一(死亡や高度障害)のことがあった場合、保険料の支払いが免除され、将来支払われる予定の祝金や満期金は契約通り受け取ることができます。
しかしながら、あまり考えたくないことですが子供が死亡してしまった場合は対象外。
この場合、ほとんどは積み立てていた今までの保険金が返ってきます。
また、会社によっては亡くなった時期によって積立金の満額の10パーセントなどパーセンテージで決まっているところもあります。
学資保険は生命保険料控除の対象になる
学資保険は他の保険と同様に生命保険料控除の対象になります。
サラリーマンの方は年末調整時に控除の申請を行えば、控除額が所得から引かれ所得税や住民税が減額されます。
自営業の方は確定申告での申請が必要です。
学資保険の返戻率は以前より悪くなったといっても税金控除ができる点は変わらず大きなメリットの1つになります。
どれくらい安くなるかというと、年収が約300~400万円の方で、年間5,000円ほど。
金額的に大きなインパクトは無いように感じますが、学資保険は長期の契約になる場合がほとんどなので、18年間なら約9万円の節約になります。
会社員は年末調整を自営業者は確定申告時に忘れずに行いましょう。
学資保険に加入するときの注意点
学資保険契約を検討するうえで、注意することを下記に上げてみました。
換金性が低く、途中解約で元本割れの可能性
学資保険は途中で解約してしまうと元本割れを起こし、損をしてしまう商品が殆どです。
また、学資保険は長期的に資金が拘束されるため、換金性が低い商品としっかり認識し、長期にみてあまり無理のない金額で積み立てを行うほうがよいでしょう。
付帯サービスにより元本割れの可能性
学資保険の種類によっては医療保険・育英年金・死亡保険など保障が付いている商品もありますが、
保障が付いているとその分の保険料が発生しているため満期時でも元本割れの可能性があります。
小さなうちはお住まいの自治体の医療費無料制度や共済保険など安価な保険もあり、学資保険にその機能が必要かは十分に検討が必要になります。
無駄な保障、別保険との保障の重複などならないように注意しましょう。
インフレに弱い
インフレとは物の価値があがり、お金の価値が下がることをいいます。
学資保険では契約時に返戻率が決まっているため、予定返戻率以上に物価が上がると実質元本割れしているのと同じことになります。
18年間物価が低いままであればよいのですが、今後のインフレの進み具合が大きなリスクとして残ります。
その場合で学資保険を選ぶなら外貨建て商品にするなどしっかりと検討する必要があります。
保険会社が破綻する可能性
定期預金などは銀行が破綻した場合、1000万円までは全額保護(ペイオフ)されています。
生命保険会社の場合は生命保険契約者保護機構による責任準備金の9割までは保護されますが、引継ぎ保険会社には継続保険の予定利率の引き下げが可能となっています。
そのため、契約保険会社が破綻すると、9割までの保護はあるとはいえ、1割は失うリスクを伴います。
加入時期の制限
学資保険は子どもがある一定年齢(小学生が目安)に達している場合加入できない商品になります。
後で必要になったからといって学資保険を始めることができません。
産まれる予定ができたらすぐに学資保険の検討をしたほうが、後々手間にならず良いのではないでしょうか?
学資保険は確実にお金を貯めていくのに最適か?
子供ができたら学資保険と思い込んでいる人が今でも少なくありませんが、学資保険の目的は将来の教育資金をためることであり、保険自体が目的ではありません。
教育資金をためるという目的のためには手段は何でもよいはずですし、教育資金をためる手段として学資保険が最も優れたものだと断定はできません。
教育資金は利用する日があらかじめ確定している資金になるので、運用状況により先延ばしができるわけではありません。
そのため、原則、株式投資などのリスクあるものを資金運用手段に選んではいけません。
マイナスになるリスクをできるだけ排除できる運用方法で増やすのかが教育資金としては重要なのです。
下記に比較的リスクが低く学資保険の変りとしてよく検討される商品を比べてみました。
学資保険 VS 積立定期預金
積立定期預金は積立金額の部分的な払い戻しが可能なため、定期預金の金利を適用して普通預金の性格を補完できる使い勝手のよい預金でもあります。
学資保険と同じで一定額を積み立てることができます。
自動積立定期預金サービスを行っている銀行でイオン銀行、楽天銀行、ソニー銀行などが比較的金利が高く現在は金利0.15%程度です。
数年ごとに満期を迎えるので、インフレ時に銀行金利が上がれば同じように金利UPが見込めます。
また、ペイオフ対応なので、銀行破綻時に資金は守られます。換金性も悪くありません。
デメリットは保険ではありませんので、税金控除・万が一の時の支払い免除はありません。
【学資保険と積立定期預金どちらが得か?】
10年払いの学資保険の年利は0.6~0.8%、定期が0.15%だと圧倒的に学資保険に利があります。
ところが、18年となると学資保険は年利0.2%程度まで利回りが落ちるため、積み立て定期預金との差もわずかになり、ここに物価上昇が起こると逆転する可能性は十分にあります。
18年と長期で運用を考えられている方は学資保険と定期預金のメリット・デメリット双方をしっかり比較してどちらが良いか考えてみてください。
学資保険 VS 個人向け国債
国債は、発行元が国であるため、安全な資産とされており、元本保証があることも大きなメリット。
変動10年の国債であれば長期金利の上昇に伴い金利が上がるため、インフレなどの市場の変化に対応できます。
デメリットはこちらも同じように保険商品としての税金控除・万が一の時の支払い免除はありません。
【学資保険と個人向け国債どちらが得か?】
現在の長期金利は低く、0.05%と最低金利で推移しています。
これがもし18年間続いた場合は学資保険が圧倒的に利回りに対しては有利となります。
破錠しない安心感、元本保証とインフレリスク対策を希望するなら個人向け国債かなと思います。
学資保険 VS 低解約返戻金型終身保険
相次ぐ学資保険の売り止め、返戻率の低下に伴い学資保険の代わりとして契約が増えているのが低解約返戻金型終身保険になります。
払込後に解約して学資保険に充てることができます。
もちろん保険商品になるので、税金控除や親の死亡保障などが付帯しています。
【学資保険と低解約返戻金型終身保険どちらが得か?】
学資保険と比較した場合の利回りもそれほどは変わりません。
学資保険ではないメリットは、18年後に積み立てていた教育資金を引き出す必要が無ければそのまま継続して老後資金まで運用も可能な点
今ではFP(ファイナンシャルプランナー)は学資保険より低解約返戻金型終身保険をススめる方も増えています。
学資保険 VS 積み立てNISA
つみたてNISAを通じて株式投資信託等に投資できる限度額は年間40万円と制限があります。
2018年から始まる”積み立てNISA”で学資保険と同じように積み立てながらご自信で運用を行い学資保険を作る方法です。
非課税枠を利用しできるだけ低リスクで運用を行うことで、学資保険では出せない利回りを出すことができます。
ここでのポイントは選ぶ投資先
NISA枠で学資保険として購入する場合は株式などのリスク資産での運用はせず、先進国限定の債券で手堅く運用するのがベスト。
逆に日本国債限定での運用は非課税枠があっても利回りでみてメリットがありません。
デメリットとしては大きく下記の4つ
- 自身での運用が必要なこと
- 死亡保障が無い
- 元本割れのリスク
- 運用手数料がかかる
【学資保険と積み立てNISAどちらが得か?】
安全な先進国国債で運用を限定すれば、リスクは最小限に抑えながら高利回りが得られます。
年間利回りは2.4%程が期待でき、学資保険より高い利回りとなります。
学資保険 VS ロボアドバイザー
積み立てNISAの例であるように自身で運用が一番教育費をためるのに高い利回りが期待できますが、
やはり、運用の素人では不安や元本割れのリスクが大きくなります。
そこで登場してきたのがAIを利用し、自身でできない運用をシステムに任せてしまう今流行りのサービス。
運用手数料が1%と安いだけでなく、1万円から始められるため学資保険の積み立てに向いています。
リスク許容度はご自信で決められるため、比較的安全に資産構築が可能ではないでしょうか?
【学資保険とロボアドバイザーどちらが得か?】
こちらも保険商品としての保障はありませんが、運用の知識がなくても学資保険より高い利回りが期待できます。
毎月10,000円では目標の教育資金が貯まらない場合は学資保険よりもより利回り期待がもてるこちらはお勧めです。
ロボアドバイザーに関する詳細情報はこちら
教育資金準備のためのおススメな組み合わせ
いろいろな方法と学資保険の比較を行いましたが、どれが一番良いのか決めかねている方には利回りや保証を考えた場合下記の組み合わせはいかがでしょうか?
子供手当含む毎月15,000円を教育資金として貯める | |
低解約返戻金型終身保険 | 5,000円 |
積み立てNISA 又は、ロボアドバイザー | 10,000円 |
この組み合わせでいくと、200万円程度の死亡保障や税金控除を得ながら、毎月の10,000円で高利回りの運用が可能になります。
15,000円を学資に充てた場合は10年払込で約107%(満期時200万円)に対して、この組み合わせならさらなる利益が期待できます。
物価上昇にも強くなり、親が万が一の場合も少ないながら保障が作れます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
おススメした組み合わせに限らず、いろいろな方法を組み合わせることで各方法の不足箇所を補いながらしっかりと教育資金をためることができます。
学資保険に限らずしっかりと教育資金をためるための方法はたくさんあります。
ぜひご参考にしてみてください。
子供の将来のために何が本当に良い選択なのかまったくわからない。