シングルマザーの老後必要資金は? シングルマザーになる前に知っておきたいお金のこと
厚生労働省の調査によるとシングルマザー世帯の平均年間就労収入は181万円となっています。
これは月収にして約15万円。
母親と子供で生活するうえではかなり厳しい金額です。
子供がまだ小さいうちは何とかなったとしても、家賃や光熱費・食費などを差し引くとほとんど残らないでしょう。
シングルマザーは常に経済的不安と隣り合わせであり、老後資金までは到底考えられないのが現状です。
老後を考えるのが怖い…。それを聞くだけで心が締め付けられるようです。
お子さんとご自身が必ず幸せをつかむためにも、シングルマザーが知っておきたいお金の話をご紹介します。
見出しで拾い読みする?
知識は必ず助けになる。
毎日お子さんのためにお仕事、子育てと大変だと思います。
本当にシングルマザーのお母さん方をみていると頭が下がります。
皆さん多忙のために、せっかく良い補助制度や情報があったとしても知らないことで利用ができず、金銭的に厳しい生活を送り続けるということはバカげています。
しかし、行政は金銭の徴収するときは強制的に、援助する場合は行政からの案内がないのが普通です。
しっかり知識を得るということだけでも、シングルマザーの貧困から抜け出せる可能性を最大限大きくするのです。
今このページで得た知識も必ずどこかで助けになります。
ぜひ、今回だけでなくしっかりと情報収集は欠かさず行ってください。
シングルマザーの老後の生活費はいくらかかる?
シングルマザーとして老後のご自身の生活費はいったいいくら必要になるのでしょうか。
ご自身で計算をする前にまずは、平均データからご紹介します。
総務省の調べによると下記の内訳の通り、156,404円が平均支出となっています。
項目 | 金額 |
---|---|
食料 | 36,200円 |
住居 | 12,402円 |
光熱・水道 | 12,643円 |
家具・家事用品 | 5,512円 |
被服及び履物 | 4,217円 |
保健医療 | 7,967円 |
交通・通信 | 12,480円 |
教育・教養娯楽 | 17,401円 |
その他の消費支出 | 35,137円 |
非消費支出(税・社会保険料) | 12,445円 |
合計 | 156,404円 |
ざっくりと老後の必要生活費の計算方法は
一か月の生活費×12か月×生存年数
先ほどの平均額を65歳定年から平均寿命の87歳まで生きた場合を計算してみましょう。
月156,404円×12か月は1,876,848円
この1年間約187万円を定年から87歳までの22年間で計算した場合は41,290,656円
約4,000万円が老後に必要な金額となります。
平均価格の計算はあくまで持ち家の方の割合も含んでいます。
もっとしっかりと必要な老後資金を計算したい場合はこちらでできます。
老後のために毎月いくら貯金が必要?
先ほどの金額4,000万円があなたが定年までに貯めなければならない金額になります。
ほとんどの方が今から毎月コツコツためていかなければならないと思いますが、
仮にあなたが現在40歳であった場合、あなた一人で13.3万円を毎月貯めなければなりません。
シングルマザーの実態を考えた場合は到底不可能に思える数字….
しかし、これは国民年金と厚生年金いずれかも加入されていない方の話であり、
65歳以降、国からどちらかの年金がもらえる場合は毎月13.3万円も貯めなくても済みます。
シングルマザーの老後資金と目標給料【国民年金加入者】
老後は年金が支給されます。
国民年金の場合だと、平均して月額5万4,500円程度(平成26年度平均)が支給されます。
将来も同程度の支給額があったと仮定した場合、
あなたが必要とする毎月の貯金額は定年後22年間で14,388,000円を受け取れます。
そのため、あなたが老後までの間に貯めなければならない貯金は25,612,000円とかなり少なくて済み、これを定年まで毎月分割して貯金していくことになります。
あなたが今40歳であった場合の目標給料は、
現在の生活費(156,404円) + 老後の資金(85,373円) = 目標給料手取り額(241,777円)
手取り収入24万円以上の給料が必要です。
シングルマザーの老後資金と目標給料【厚生年金加入者】
会社に勤めていて、社会保険に加入している人は国民年金に厚生年金も上乗せされて受け取ることができます。
年金の確認には日本年金機構の「ねんきんネット」で確認しましょう
厚生年金の場合だと、仮に月額144,886円(平成26年度平均)程度を支給されたと考えます。
将来も同程度の支給額があったと仮定した場合、
あなたが必要とする毎月の貯金額は定年後22年間で38,249,904円を受け取れます。
そのため、あなたが老後までの間に貯めなければならない貯金は1,750,096円とほとんどなくなります。
公的年金が2.7倍程度増えているので当然です。
あなたが今40歳であった場合の目標給料は、
現在の生活費(156,404円) + 老後の資金(5,833円) = 目標給料手取り額(162,237円)
手取り収入万円以上の給料が必要です。
各個人の厚生年金額については必ず年金ねっとでご確認ください。
ゆとりある老後生活を送るために
定年後に約15万円の生活費は決してゆとりある老後の費用ではありません。
むしろ、持ち家でローン完済時の計算になるので、賃貸の方、ローン残高がある方はより多く必要です。
生命保険文化センターの「老後保障に対する私的準備状況」調査で見ると、ゆとりある老後生活を送るための「最低日常生活費」以外に必要と考える金額は67,000円となっています。
この金額の使い道は、「旅行やレジャー」がもっとも高く、以下「趣味や教養」「日常生活費の充実(つまり贅沢な暮らし)」と続いています。
この計算で行くと下記の計算になります。
生活費+住居費+ゆとり費用 = あなたが追い求めてほしい金額
(156,404円 – 12,402円) + 50,000円(家賃) + 67,000円 = 261,002円
261,002円/月*12ヵ月*22年 = 68,904,528円
この金額から公的年金を指し引いた金額を今から少しずつ頑張ってほしいと思います。
このサイトでは子供のいる家庭の生活費が出せます。
【子供がいる家族の生活費】かんたんシミュレーション | 生活費.com
http://seikatsuhi.com/kodomo.html
最近ではひとり親家庭向けの給付型奨学金も増えてきており、奨学金をうまく組み合わせて活用します。
教育資金に対しては奨励金をフルに活用し、奨励金で確保した教育資金で浮いたお金を貯蓄に回し、自分のための老後のお金も確保することを意識すると良いでしょう。
毎月25万円以上を確実に得られる給料を得ている場合は国民年金・又は厚生年金をしっかり掛け、贅沢せずに生きれば老後も問題ないでしょう。しかし、多くのシングルマザーの実態は毎月25万円に足りず、お子さんの教育費も重なり貧困に陥っています。ゆとりある老後を目指す場合は尚更です。
シングルマザーを支援する様々な制度
世の中にはシングルマザーを助ける様々な制度があります。
利用することは決して恥ずかしいことではなく、少しでも生活の助けとなるように上手に活用しましょう。
児童手当
日本国内に住む0歳以上中学卒業までの児童が対象に支給される手当
児童扶養手当
父又は母の一方からしか養育を受けられない一人親家庭などの児童が対象の手当
児童が1人 – 月額4万1720円
児童が2人 – 月額4万6720円
児童が3人 – 月額4万9720円
以後 – 児童が1人増えるごとに月額3000円追加厚生労働省
児童育成手当
一人親の児童をもつ家庭に対して、生活の安定・児童福祉促進の目的で支給される手当
18歳まで(18歳になった最初の3月31日まで)の児童を扶養するひとり親家庭
児童1人につき13,500円/月
生活保護
生活に困窮する世帯に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする手当
母子生活支援施設
18歳未満の子供を養育しているシングルマザーが、生活上の様々な問題のため、 子供の養育が十分にできない場合、子供とともに保護し、支援する施設
母子家庭自立支援給付金
自立支援教育訓練給付金
支給については、受講前に都道府県等から講座の指定を受ける必要がありますので、必ず事前にお住まいの市(町村在住の方は都道府県)にご相談下さい。厚生労働省
高等職業訓練促進給付金等事業
住宅手当(母子家庭・父子家庭対象)
20歳未満の児童を養育している母子(父子)家庭の世帯主で、月額10,000円を超える家賃を払っている方などが対象の手当
助成を受けるには、各自治体での条件があるので、それぞれお住まいの市町村自治体の確認が必要となります。
公営住宅
シングル家庭などを対象に各自治体では、最低限の生活ができるように格安賃料で公営住宅を提供しています。
事前に自治体への確認が必要となります。
母子・寡婦福祉資金貸付
母子家庭の生活の安定と児童の健全な育成を図るために、必要な資金の貸付をしています。(所得制限あり)
医療費助成制度
18歳未満の子供を扶養しており、医療保険に加入している母子・父子家庭への助成
一定の所得限度額に満たないひとり親家庭の親及びその児童等に対し、医療費の一部を補助することにより、保健の向上と生活の安定に寄与することなどを目的とした制度
小児医療費助成制度
0歳から中学校卒業までのお子さんをお持ちの家庭の経済的負担を軽減し、小児に対する福祉の増進を図ることを目的とした制度
小学校6年生修了までのお子さんの入院及び通院、中学生以上のお子さんの入院に対する保険診療の自己負担分を助成します。
所得税・市府民税の軽減
母子家庭は申告により所得税、住民税の軽減措置が受けられます。
国民年金・国民健康保険の免除
所得が少なく、保険料を納めることが困難な家庭に対して、本人の申請によって保険料を全額、または半額免除する制度
水道料金・下水道使用料の減免
8歳未満の子供を養育しているシングル家庭で、児童扶養手当・生活保護を受けている世帯は申告により水道料金・下水道使用料を減免しています。
粗大ごみ等処理手数料の減免制度
児童扶養手当を受けている世帯には、粗大ごみ等処理手数料の減免制度
高校生等奨学給付金制度
低所得世帯の授業料以外の教育費をまかなうために、国が給付する奨学金。返済する必要はありません。
その他にも地方自治体の奨学金制度等があります。
就学支援制度
経済的理由により義務教育諸学校への就学が困難な方の小、中学生に対して、
学校給食費や学用品費、修学旅行費等の一部が援助される制度です。
就職・転職活動
ハローワークは子連れで相談できる機関です。
年金分割
離婚したシングル女性は年金をもらえる可能性があるそうです。
『年金分割』して、元夫の年金から月数万円もらえる可能性があります。
申請が通ると、自分の年金プラス元夫の年金を上乗せすることができます。
尚、年金分割は離婚後2年間のうちに申請すれば適用されます。
シングルマザーを支援する様々な企業やサービス
国や地方自治体以外にもシングルマザーを支える企業やサービスがあります。
JR通勤定期の特別割引
児童扶養手当を受けている世帯の方が、JRを利用して通勤されている場合は、通勤定期乗車券を3割引で購入することができます。
マザーポート
同じ経験をした方々が支えあいながら生活できます。
http://motherport.net/
フローレンス
病気の子どもや、病気の回復期にある子どもを預かってくれるサービスです。
https://florence.or.jp/
子育てシェア
送迎・託児を顔見知り同士で頼り合う「子育てシェア」
http://asmama.jp/
タウンワーク
お仕事探しの情報誌。シングルマザー、子育て女性のための特集が充実しています。
https://townwork.net/
シングルマザーにおすすめの資産運用
現在少し貯金があり、すぐに使わないお金なら、貯金ではなく金利の高い商品に預けるのも一つとの手になります。
iDeCoの活用
毎月の生活で手一杯の中でも、毎月少額でも一定額を積み立てて強制的に貯めていければ老後の生活がぐっと楽になります。
そこでおススメなのがiDeco
iDecoは老後資金を貯めるために利用する制度ですが、所得額を減らし、税金控除されるメリットを備えています。
もし児童扶養手当を受けているならiDeCoの活用で児童扶養手当が今より多くもらえる可能性があります。
また、所得税・住民税も削減できるので家計にとってダブルでプラスにできます。
終身保険の活用
学資保険代わりに終身保険で10年払いにすると、10年後には100%以上の解約返戻金を好きなタイミングで受け取ることができます。
銀行預金より高金利で受け取れます。
中学受験、高校受験を視野に活用してみましょう。
10年以内に解約した場合には、元本割れする恐れもありますので、そこはプロに相談しましょう。
シングルマザーにおすすめの副業
公的年金と現在の給料で足りない場合は不足分を稼ぐ他に方法はありません。
シングルマザーでもできる副業をご紹介します。
アルバイト
即金性はすべての中で一番です。
時間が取れる方、サイドワークができる方はまずはアルバイトで少しでもお金を稼ぐことで老後資金を捻出することができます。
必要才能力:なし
クラウドワークス
オンライン上で案件を見つけて納品したときに収入を得られるタイプです。
アルバイトと同じですが、自宅でできる仕事が多く、時間が無駄にならないのがうれしいところ。
WEBサイト制作、文章を書くことに抵抗がない方は、記事作成の案件がお勧めです。
必要才能力:★★
アフィリエイト
ご自身のブログやSNSへ企業の商品を紹介することによりその売り上げの一部がもらえる仕事。
収益を上げるまでに時間がかかるが報酬額はほかのものより圧倒的に稼げる可能性があります。
自宅でパソコン一つでできる仕事のためにシングルマザーには向いている仕事です。
似たようなポイント獲得サービスがありますが、稼げる額も少なく、老後を考えたシングルマザーにはおススメしません。
必要才能力:★
FX・株式
少額で始められる株やFXでの運用益を得る方法
比較的、女性に向いていると個人的には思います。
勉強すればだれでも勝てるようになりますので、自宅で子育てをしながらできる仕事になります。
知り合いで育児休業時にFXを始め、今では月収200万円をこえている女性がいますが、
決して才能があったというわけではなく、コツコツ勉強した結果です。
必要才能力:★
youtube
人気職業になりつつあるyoutuber
自宅でもできる仕事のためにシングルマザーには最適
前職のスキルを活かすことも趣味の内容でも動画で配信することができます。
読者がつけばそれなりの収益化を見込める仕事です。
必要才能力:★★★
ずっとパートでよいの?
シングルマザーで子供が小さいうちはどうしても正社員ではなく、パートなどで生計を立てている方は多いです。
しかし、先ほどの試算を見ていただくだけでもわかると思いますが、老後の生活を考えた場合は厚生年金があったほうが良い。
子供も教育資金が今後かかってくる中で、教育資金を確保しつつ老後資金を貯めなければなりません。
パートだけではどうしても老後の見通しが立つようにはどう計算してもならないと思います。
時間に制限があるので今すぐ正社員が難しい方は、パートで働きつつ、高等職業訓練促進給付金等を活用し、正社員になれる時期までしっかりご自身を磨いて下さい。
スキルがある無しで今後の就職先の有無にかかわってきます。
現在のスキルの有無・年齢の関係であきらめることの無いようにしましょう。
まとめ
シングルマザーの貧困から脱出するためには、情報収集力とコミュニケーション力が必要です。
非正規社員であっても、高等職業訓練促進給付金などを活用しスキルアップに取り組んだり、積極的に今の仕事に取り組み高い評価を得て正規社員となる例もあります。
転職できることもあります。
そのためには、「自分が何に困っている」と受け身ではなく、周囲に自分から発信するし、積極的に協力を得る環境づくりが大切です。
また、ご自身がスキルアップし働き続けるためにも、地元の公報やシングル女性支援のNPOなどが発信する情報をよくチェック、起業向けの補助金やサービスを受けられるように、
常に情報のアンテナは張り巡らせておきましょう。
低所得者向けやひとり親家庭向けの新しい奨学金も増えてきているので、諦めずに情報収集することが大切です